ロコモ対策

「ロコモ」「ロコモティブシンドローム」などの言葉がメディアを賑わせることが増えています。日本では高齢化に伴い、足腰の不調を訴えるお客様が今後ますます増えてくると思われます。また、薬局や薬店が地域の健康情報の拠点となることも予想され、そうしたお客様のご質問にもお答えできるようにしておくことが重要になるでしょう。

ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは?

まず、「ロコモティブシンドロームとは何か?」について見ておきましょう。ロコモティブシンドローム(locomotive syndrome 以下、「ロコモ」)は、「運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態」を表す新しい言葉として、日本整形外科学会が2007年に提唱したもので、“運動器症候群”ともいわれます。筋肉や骨、関節、軟骨、椎間板といった運動器などに障害が起こり、歩行や日常生活に何らかの障害をきたす、あるいはそうしたリスクが高まった状態で、進行すると介護が必要になるリスクが高くなります。

運動器に障害が起こると日常生活を送るにも不便が生じ、ひどい場合は補助なしでは生活できないなど、「寝たきりでない、健康的な生活を送ることができる寿命」、いわゆる「健康寿命」短縮の原因にもなってしまいます。「健康寿命」とは、WHO(世界保健機関)が2000年に提唱した指標で、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間を指し、平均寿命から衰弱・病気・認知症などによる介護期間を差し引いたものです。厚生労働省が発表した『健康日本21(第2次)の推進に関する参考資料』によると、2013年の日本人の平均寿命は、男性で80.21歳、女性で86.61歳ですが、一方の健康寿命は、男性で71.19歳、女性で74.21歳といいますから、日本人の健康寿命は、平均寿命より男性で9.02年、女性では12.4年も短く、この間は介護を受けている状態ということになります。
このように、要介護の高齢者を増やさないためにも、「健康寿命」を延ばすことが、国をあげての大きな目標となっているのです。

ロコモになるのはなぜ?

ロコモの主な原因は加齢です。年をとると、身体機能の衰えによって足腰の骨や筋肉が弱まるだけでなく、関節軟骨がすり減って痛みを生じるなどして、より運動機能の低下に拍車をかけることになります。
このロコモの具体的な要因としては、
・普段からの運動不足
・軟骨の減少
・肥満
・若い頃からの過度の運動

などがあげられます。

普段からの運動不足

普段から運動をしていないと、筋肉が衰えて、すぐに疲れてしまったり、筋肉や関節の柔軟さがなくなることで、スムーズに動きづらくなったりします。また、普段運動していないにもかかわらず、急に運動をすると、ぎっくり腰や筋肉の断裂なども起こりやすくなります。

軟骨の減少

関節部分には、骨と骨が直接ぶつからないようにクッションとなる軟骨がありますが、年をとるにつれて、この軟骨も消耗してきます。すると、負担を吸収しきれずに炎症が起こり、場合によっては骨同士が直接当たり、強い痛みを生じるようになります。そうなってしまうと歩けなくなることもあるため、状態によっては手術をする必要も出てきます。

肥満

体重が増え過ぎると、それだけで動きづらくなることは想像に難くないですが、ひざにかかる荷重も増えて、関節に負担がかかることもロコモを悪化させる要因です。つねにひざ関節に過大な負荷がかかることで、軟骨がすり減ったり、関節部分に炎症が起きたりすることがあります。

若い頃からの過度の運動

運動不足とは反対に、若い頃から激しいスポーツをしていると、足腰やひざの筋肉に負荷がかかり、傷めてしまうことがあります。運動不足はロコモの原因になりますが、過剰な運動もロコモの原因となるおそれがあることに注意しましょう。

以上のように、長い期間をかけてひざに負荷がかかったり、足腰が衰えたりして生じることから、ロコモは高齢者に多いお悩みといえます。ただし、同じ年齢の高齢者でも、寝たきりの人もいれば、元気にスポーツをしている人もいるように、人によってその状態はさまざまです。元気に活動できる老後を少しでも長く送るためにも、若い頃からのケアはもちろん、症状を遅らせるための日々のケアが重要といえるでしょう。

対処するには?

ロコモを防ぐ、あるいは軽減するためには、日頃から足腰を丈夫にするための運動をしたり、必要な栄養素を摂取したりすることが大切です。以下で見てみましょう。
なお、コンドロイチン硫酸が配合される医薬品などは、「腰痛」「関節痛」といった効能・効果をお伝えできますが、グルコサミンなどのサプリメントなどは、あくまでも食品であって医薬品でないため、症状緩和などをうったえることができない点に注意して接客してください。

コンドロイチン硫酸

コンドロイチン硫酸は、もともと人間の体の中に存在している成分で、ムコ多糖類の一種です。関節の軟骨などを形成する成分で、コンドロイチンのままでは利用されず、コンドロイチン硫酸に変換される必要がありますが、その変換するはたらきが加齢とともに衰え、生産量が減少していくため、高齢者の関節痛や腰痛の原因になります。
主にサメ軟骨から抽出される栄養素で、腰痛や関節痛などに対応する医薬品の成分として配合されたり、サプリメントに配合されたりしています。

グルコサミン

グルコサミンも、軟骨を構成する成分で、関節部分の細胞の新陳代謝に重要な役割を果たしています。関節の痛みを緩和する、動きを潤滑にする、といった効果が期待されている成分で、サプリメントなどで販売されています。なお、この成分はエビやカニの殻などを原料にしているため、エビ・カニアレルギーのある人は摂取できない点に注意しましょう。

MSM(メチルスルフォニルメタン)

MSMは、人間の関節にある軟骨、筋肉、皮膚、髪、爪などにも含まれる天然のイオウ化合物です。「有機硫黄」とも呼ばれ、無機硫黄に比べて体内に吸収しやすいとされます。痛みや炎症を抑える、抗炎症作用があるといわれ、サプリメントなどで販売されています。

カルシウム

カルシウムは、骨や歯のもととなり、丈夫な体づくりには欠かせない成分です。食品では乳製品や魚介類に含まれていますが、カルシウムは加齢とともに不足しがちな栄養素ですから、サプリメントや医薬品でしっかりととることをおすすめしましょう。

タンパク質

タンパク質は、炭水化物(糖質)、脂質と並ぶ三大栄養素のひとつです。アミノ酸が多数結合した化合物で、私たちの体、とくに筋肉を形成するのに必要な栄養素です。筋肉のほか、骨を形成するコラーゲンなどもタンパク質ですから、その摂取はとても重要です。ところが、高齢者では、肉類などを避ける人もおり、それがタンパク質不足につながることもあります。栄養不足などから筋肉量や骨量が減ることは、足腰の衰えにつながりますから、カルシウムなどの栄養素とともに、タンパク質やその元となるアミノ酸を摂取できる商品の提案もしていきましょう。

掲載している情報は、取材時もしくは掲載時のものです。掲載日:2015年07月24日