便秘対策

便秘もよくご相談のある症状です。とくに、新生活のはじまる春から夏にかけては、環境の変化などで便秘になる方もいらっしゃいますので、症状や対応する成分について復習しておきましょう。便秘にはいくつか要因があり、お客様によって症状の程度もさまざまですが、そのメカニズムと対策を把握しておくことで、お客様に適した商品を提案できるでしょう。

便秘とは?

便秘の程度や原因は人によって異なるので、はっきり定義づけることは難しいのですが、一般的には「排便が順調に行われない状態」を指します。2日に1回しか排便がなくても、とくに不快感を覚えない人もいれば、毎日排便があっても、1日に1回だけではすっきりせず、2回排便があってはじめて順調と感じる人もいます。このように、便秘は本人の感じ方が大きく影響する症状といえます。
では、以下で便秘になるメカニズムを具体的に見ていきましょう。

便は、食べた物が胃や小腸で消化・吸収された結果、排出されるものですが、その構成を見ると、水分:70~80%、腸内細菌の死がい:10~15%、食物の残滓:約5%、その他(はがれ落ちた腸の内皮細胞など)と、食物のかすよりも水分がその大部分を占めていることがわかります。この水分量が70%以下になると、便が硬くなり、便秘になりやすくなります。

便は、消化・吸収の過程で内容物が大腸の蠕動運動によってゆっくりと進むうちに最終的な水分調整をされ、固形状になったものです。こうして作られた便は、S状結腸に溜まっていき、ある程度溜まると、直腸に押し出されます。直腸は普段は空の状態ですが、便が入ってきて内壁を押し広げると、その刺激が脳に伝えられて「便意」を感じます。

また、便意が生じるほかの要因として、「胃・大腸反射」と呼ばれるものもあげられます。これは、胃に食べ物が入って膨らむと、大腸に信号が送られ、反射的に大腸が収縮して便を直腸に送り出そうとする現象で、これによっても便意が生じ、排便を促すのですが、この反射はとくに朝食後に強く現れるため、毎朝きちんと朝食をとることが便秘の改善に重要といえます。

便秘の人は、このような排泄の仕組みが何らかの原因により、うまくはたらかなくなっていると考えられます。ですから、便秘を解消するには、その原因を突き止めて改善する必要があります。主な原因としては次のようなものが考えられますので、以下でその対処法を見ていきましょう。

1.不規則な食生活
2.便意の抑制
3.偏った食事
4.生理
5.加齢
6.腸内細菌叢の乱れ
7.ストレス
8.その他

主な原因と対処法

1.不規則な食生活

忙しいなどの理由で食事を抜いたり、食事をする時間がまちまちだったりすると、体のリズムが乱れ、腸のはたらきが悪くなって便秘になりやすくなります。とくに朝食後は「胃・大腸反射」が起こりやすいため、朝食をきちんととることが大切です。

2.便意の抑制

便意をがまんするということが何度も続くと、直腸内壁の知覚がしだいに鈍くなって、便意そのものを感じにくくなるため、便意があったらがまんせず排泄することが重要です。

3.偏った食事

バランスが悪く、偏った食事も便秘の大きな要因の一つです。中でも、消化吸収されずに大腸内を通過して腸内の掃除をしてくれる食物繊維が不足すると、便の量や水分量が減少して便秘になりやすくなります。さらに、食物繊維は善玉菌のえさになるため、腸内環境を正常に保つためにも大切です。また、水分が不足すると便は硬くなってしまいますから、水分摂取にも注意しましょう。このほか、若い女性に多いのが食事制限によるダイエットで、食事をきちんととらないために腸内容物が少なくなり、便通に異常が生じるというものです。こうした方には、食事制限をする場合であっても、食物繊維をしっかり摂るようにアドバイスしましょう。

4.生理

よく、女性のほうが便秘になりやすいといわれますが、その理由は黄体ホルモンのはたらきにあります。黄体ホルモンは女性ホルモンの一つで、排卵と月経をコントロールするほか、子宮や子宮内の胎児に影響を与えないよう、大腸の蠕動運動を抑制する作用があるのです。そのため、女性は黄体ホルモンの分泌が活発になる「排卵から月経までの時期」は、便秘になりやすくなります。

5.加齢

高齢者の中にも、便秘をわずらっている方は少なくありません。これは、年をとると食事の量が減り、便の量が減ってしまうことが第一の理由にあげられます。それに加えて、高齢になると排便に必要な腹筋が衰えたり、神経が鈍って便意が起こりにくくなるほか、大腸の蠕動運動も弱ってくることで、便秘になりやすくなるのです。腸管の運動が低下している場合が多いので、ときには刺激性の便秘薬などで排泄を促すなど、医薬品を上手に使うようにすると良いでしょう。

6.腸内細菌叢の乱れ

人間の腸内には、およそ100種類以上、数にすると約100~200兆個、重さにして1~1.5Kgもの腸内細菌がすみついているといわれています。この中には主に、体にとって良いはたらきをする「善玉菌」と呼ばれる細菌と、体に悪影響を与える「悪玉菌」と呼ばれる細菌がいます。このような腸内細菌の集まりを「腸内細菌叢」と呼びますが、この腸内細菌叢のバランスが崩れると、腸の活動が低下し、便秘になりやすくなります。

7.ストレス

胃腸は、精神的な要因にその状態を左右されやすい、とてもデリケートな器官です。そのため、精神的負荷が大きくなると自律神経系の乱れが生じて、胃や腸のはたらきが悪くなるのです。こうした症状の中には「過敏性腸症候群(IBS)」と呼ばれるものもあります。IBSは、起こる症状の割合によって便秘型、下痢型、混合型などがありますが、この場合の便秘は腸管が過度に緊張(けいれん)して細くなり、便が通りにくくなることで起こります。

8.その他(薬の副作用、大腸がんなど)

このほか、大腸にポリープやがんなどができると、内容物の通り道が狭まって便の通過障害が起こることがあります。また、抗コリン作用のある医薬品を服用すると、副交感神経のはたらきが抑えられて腸の蠕動運動が低下し、便秘になりやすくなります。いずれにしろ、原因がよくわからない場合は、医療機関を受診するようお伝えしましょう。なお、受診する場合は、そのときに服用しているOTC医薬品などがあれば、その添付文書を持参するようにお伝えしましょう。

医薬品では?

店頭にいらっしゃったお客様に医薬品をおすすめする場合は、以下の瀉下成分の特徴を押さえておくと、症状にあった商品を選択できます。

刺激性瀉下成分

腸管を刺激して蠕動運動を活発にし、排便を促す成分です。代表的なものにビサコジルがありますが、これは非常に刺激が強いため、初めての方が使用する場合は注意が必要です。センナなどは比較的作用が穏やかですが、授乳を避ける必要があるといった注意点もあるので、使用上の注意をよく確認しておいてください。
なお、IBSの便秘型のように、腸管平滑筋が過剰に緊張することによって起こる便秘の場合は、刺激性便秘薬を使用すると症状が悪化することがありますので注意が必要です。

代表的な成分
・ビサコジル
・ピコスルファートナトリウム水和物
・センナ、ダイオウなど

膨潤性瀉下成分

腸内で水分を吸収して膨張し、便のかさを増やして腸管内を刺激することで排便を促す成分です。硬くなった便を軟らかくするはたらきもあります。これらの成分が配合された医薬品は、その効果を高めるため、いっしょに十分な水分を摂取する必要があります。

代表的な成分
・プランタゴ・オバタ種皮(種子)

塩類瀉下成分

腸内容物の浸透圧を高めることで便中の水分量を増やし、排泄しやすくします。

代表的な成分
・酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム水和物 など

その他の瀉下成分

・ジオクチルソジウムスルホサクシネート(DSS)
界面活性作用によって腸内容物に水分を浸透しやすくし、便中の水分量を増やして軟らかくします。

・マルツエキス
主成分である麦芽糖が腸内細菌によって発酵され、生じるガスによって便通を促します。主に乳児の便秘に用いられます。

・ジュウヤク、ケンゴシなどの生薬成分
大腸刺激による瀉下作用を期待して配合されます。

便秘に用いられる漢方処方製剤

・大黄甘草湯、大黄牡丹皮湯、麻子仁丸 など

その他、便通異常に効果のある成分

・トリメブチンマレイン酸塩
胃腸運動を正常化するようにはたらき、過敏性腸症候群の症状(便秘型、下痢型、混合型)に効果があります。

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掲載している情報は、取材時もしくは掲載時のものです。掲載日:2015年05月29日