地域NO.1になるために! 薬剤師は考えた、薬局・薬剤師はこのままでいいの?

薬剤師 青井ひとみが店内の一角に設けたサロンの効用は、思いがけない広がりをみせた。ある日ひとみが小さなテーブルに一輪挿しを置いたときだった。「薬剤師さん、ちょっとお話してもいいかしら」と、よく見かける中高年世代の女性に声をかけられた。

一方通行の情報提供に終わらない、双方向の関係性構築を目指そう。

彼女の話によると、毎朝愛犬とウォーキングに励み、自分なりには食事にも気を配り、健康な方だと思っていたが、病院で高血圧と診断されたという。何がいけなかったのかわからないし、一生、薬を飲み続けなければいけないのかと落ち込んでいるという。

ひとみは、先週参加した県薬剤師会総会後のセミナーで受けた“最新の高血圧対策のすべて”で学んだことを思い出した。大きなポイントが3つ(※)あり、①減塩は食品に表示してあるナトリウムの塩分換算を利用すること。②血圧は1日中同じではないので、家庭でも測る習慣をつけること。③血圧の変動は自覚症状がないため、定期的に受診し、家庭血圧を報告の上、薬の調整をしてもらうこと、だった。

“血圧とは”から“血圧の測り方”も含め「食事と運動と受診で薬を減らせることもあるんですよ」などと、じっくり話し込むと「血圧って、知っているようで知らないことばかりだったわ。病院じゃ、先生からゆっくりカウンセリングしてもらうわけにもいかないし。今日からさっそく自分で血圧を測って、ついでに体重も記録してみるわ」と血圧計を購入し、少し希望を持ったからか彼女は明るい顔で店をあとにした。

しばらくすると、彼女のウォーキング仲間の女性達の何人かが、血圧計を買い求めに来たことにひとみが気付いたのは、それから10日も経った頃だったろうか。

サロンという発想と、治療のヒントなどの情報提供が、お客さまとのコミュニケーションを生み、実際にお客様の不安解消に役立ったことで、また新たな売りが生まれたのだ。これからも地域で生活する人たちへ、積極的に新たな情報や健康へのヒントを提供していきたいと思った。

そうだ、「街の薬屋さんとしてだけではなく、健康相談にも立ち寄れる場所だということを知ってもらおう。」さまざまな健康不安を感じているお客さまへの啓発にもなるかもしれない。

ひとみは、まずは「血圧についてちゃんと知っていますか」「正しい血圧の測り方」などのPOPを手作りし始めた。
(つづく)

(※)出典:高血圧治療ガイドライン2009

【今回のポイント!】

顧客に「自分にとって必要な存在だ」(答えをくれる、役に立ってくれる・・・)と双方向の関係性をもって認識してもらうことが、信頼の醸成~新たな売りの創造につながる。

どんな情報であっても「情報を提供する」だけでは、「コミュニケーション」にはならない。
前回学んだ「顧客インサイト」を知り、顧客が必要な時に、必要な情報を、望ましい方法で提供することで、顧客から「自分を解ってくれる存在」として認識される。そして顧客が「声」を聴かせてくれて初めて「双方向の関係」が構築され、その先に新たな広がり(ex.売り、継続的関係)が生まれるのだ。
コトラーも、著書「コトラーのマーケティング・マネジメント 基本編」の中で「顧客の未充足ニーズ(課題)を把握し解決する方法を決定するには、顧客との双方向の効果的なコミュニケーションが必要である。と述べている。

掲載している情報は、取材時もしくは掲載時のものです。掲載日:2012年01月10日