知っておこう「八味地黄丸」

今回は、OTC医薬品の漢方薬から、八味地黄丸を取りあげます。尿の悩みなどへの適用でよく知られていて、高齢者のお悩みに関した効能・効果をいくつももっていますので、覚えておきましょう。

知っておこう「八味地黄丸」

【適用・用量について】

・効能・効果については、OTC医薬品では最初に「証」に関する記述があります。八味地黄丸は、体力のない人に用いる処方です。
※証とは、漢方で処方を判断するもととなる、その人の体質や症状を表す概念。
・OTC、医療用のいずれの場合も、疲れや尿に関係した悩みに対する効能・効果になっています。また、医療用での効能・効果は、疾病で記載されたもののほか、OTCと同じく、症状で記載されたものがあります。
・泌尿器などに効果を発揮するほか、かすみ目や腰痛の症状などにも効果を発揮するのは、八味地黄丸は加齢による老化現象を改善することで、高齢者に起こりがちな機能低下によるさまざまな症状を改善できるという漢方の考え方に沿ったものです。
・構成生薬については、OTC、医療用でほぼ同等のものです。

OTC医薬品 医療用医薬品
主な適用・用量
<効能・効果>
体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少又は多尿で、ときに口渇があるものの次の諸症:下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、排尿困難、残尿感、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)、軽い尿漏れ

<構成生薬>
(散)ジオウ5、サンシュユ3、サンヤク3、タクシャ3、ブクリョウ3、ボタンピ3、ケイヒ1、加工ブシ0.5-1
(湯)ジオウ6-8、サンシュユ3-4、サンヤク3-4、タクシャ3、ブクリョウ3、ボタンピ3、ケイヒ1、加工ブシ0.5-1
<効能・効果>
(代表例1)
疲労、倦怠感著しく、尿利減少または頻数、口渇し、手足に交互的に冷感と熱感のあるものの次の諸症:腎炎、糖尿病、陰萎、坐骨神経痛、腰痛、脚気、膀胱カタル、前立腺肥大、高血圧

(代表例2)
疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少又は多尿で、ときに口渇があるものの次の諸症:下肢痛、腰痛、しびれ、老人のかすみ目、かゆみ、排尿困難、頻尿、むくみ

【重要な基本的注意】
本剤の使用にあたっては、患者の証(体質・症状)を考慮して投与すること。

<構成生薬>(代表例)
ジオウ6、サンシュユ3、サンヤク3、タクシャ3、ブクリョウ3、ボタンピ2.5、ケイヒ1、ブシ末0.5

【使用上の注意のポイント】

・八味地黄丸は、添付文書の「使用上の注意」に注意事項が記載されることが多い「カンゾウ」「マオウ」「ダイオウ」を配合していませんから、処方としての注意事項もあまり多くありません。
・体力の落ちている人に用いる処方で、滋養強壮作用のある「加工ブシ」を配合しています。加工ブシは、エネルギー(気)を産生するはたらきが強く、体力のない人を元気にしますが、すでに体力のある人が使用した場合は、のぼせなどの副作用が現れやすくなるとされているため、使用者の体質に関する注意事項が記載されています。また、加工ブシについては、医療用で併用薬による重複を避けるための注意事項が記載されています。加工ブシは、猛毒のトリカブトの根を用いた生薬ですから、作用が強いと考えられます。OTCでは注意事項になっていませんが、重複には注意したほうがいいでしょう。
・元気をつける生薬として「ジオウ」を配合しています。ジオウは「強壮」「補血」「利尿」といった作用をもつ生薬で、とくに胃腸が弱っている人などでは胃腸に負担をかけることがあるため、使用者の胃腸の状態に注意する必要があります。

OTC医薬品 医療用医薬品
【してはいけないこと】
次の人は服用しないこと
生後3カ月未満の乳児。
〔生後3カ月未満の用法がある製剤に記載すること。〕
【小児等への投与】
・小児等に対する安全性は確立していない。[使用経験が少ない]
次の人は服用しないこと
胃腸の弱い人。
【慎重投与】(代表例)
・著しく胃腸の虚弱な患者[食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、腹痛、下痢、便秘等があらわれることがある。]
または
・食欲不振、悪心、嘔吐のある患者[これらの症状が悪化するおそれがある。]
など
次の人は服用しないこと
下痢しやすい人。
【慎重投与】
・著しく胃腸の虚弱な患者[食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、腹痛、下痢、便秘等があらわれることがある。]
―― 【重要な基本的注意】
他の漢方製剤等を併用する場合は、含有生薬の重複に注意すること。ブシを含む製剤との併用には、特に注意すること。
【相談すること】
次の人は服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
のぼせが強く赤ら顔で体力の充実している人。
【慎重投与】(代表例)
・体力の充実している患者[副作用があらわれやすくなり、その症状が増強されるおそれがある。]
または
・暑がりで、のぼせが強く、赤ら顔の患者[心悸亢進、のぼせ、舌のしびれ、悪心等があらわれることがある。]
など
掲載している情報は、取材時もしくは掲載時のものです。掲載日:2015年04月30日