血圧が気になっているお客様

今回は、血圧が気になるお客様に対する接客を見ていきます。血圧を訴求した商品としては、高血圧の随伴症状を効能・効果とする医薬品をはじめ、「血圧が高めの人」におすすめの特定保健用食品などがあります。なかでも代表的なのが漢方薬で、さまざまなケースに対応した処方が複数用意されていますので、お客様の体質など(証)にあった商品をおすすめできるようにしておきましょう。

接客事例&解説

事例:50代男性

お客様:あのー、この前の健康診断で血圧が高めだから注意(ポイント1)するように言われたんだけど、何かいいものないかな?

薬剤師:血圧が高めの方にはトクホが人気ですが、積極的に改善したいなら漢方薬がおすすめです。

お客様:ああ、漢方薬ね。そっちにしてみようかな。

薬剤師:わかりました。漢方薬は、お客様の体質や症状に合わせて使う処方を変える必要があるのですが、お客様は、たとえば肩がこりやすいとか、頭痛がするとか、血圧以外で何か気になる症状はございますか?

お客様:そういえば、肩はこるし、頭痛もたまにあるね。

薬剤師:では、イライラしやすいとか、便秘がちであるとか、そういったことはございませんか?

お客様:仕事でちょっとストレスがあると、イライラすることはあるよ。でも、便秘ってことはないかなぁ。

薬剤師:そうですか。では、お客様は体が丈夫なほうですか?(ポイント2) それとも、胃腸などが弱いとか、疲れやすいとか、そういったことはございませんか?

お客様:とくに丈夫ってわけでもないけど、弱いわけでもないね。まあ、普通かな。でも、そんなことも関係するの?

薬剤師:はい。漢方では、単に血圧を抑えようとするのではなく、高くなっている原因を改善しようとします。ですから、同じ原因から現れやすい症状を確認することで、症状に合った処方を選ぶことができるんです。また、体力が充実しているか、虚弱体質かも、処方選択の目安になります。そこで、きちんと効果を出すために体力の有無といった体質の確認が重要になるんです。

お客様:なるほどね。で、どれがいいの?

薬剤師:お客様の場合は、こちらの「釣藤散」が適していると思います。

お客様:ふーん。それはどんなものなの?(ポイント3)

薬剤師:体力は普通で、慢性的な頭痛や肩こりなどがあって、高血圧の傾向がある方向けの処方です。こちらは、鎮静と鎮痛の作用があるとされていますので、イライラしやすいという方にもおすすめなんです。

お客様:そうなんだ。じゃあ、それを試してみようかな。

薬剤師:ありがとうございます。漢方薬は空腹時に服用するほうが効き目があるとされていますので、お食事の前後1~2時間で、おなかが空いている「食前」か「食間」に服用するようにしてください。また、できるだけ普段のお食事も注意してみてください。健康食品などもご用意しておりますので、また何かご相談があればいつでもお越しください。お大事に。


解説

今回のポイントは、以下になります。

ポイント1:健康診断の結果を確認

今回いらっしゃったのは、健康診断で指摘され、血圧が気になったお客様です。最近は、健康志向が高いお客様が多いため、こうしたご相談もよくあるでしょうから、対応できるようにしておきたいものです。お客様の状態を正確に把握し、適切なアドバイスをするために、できれば診断結果を見せていただくのがいいでしょう。ただし、アドバイスするには、検査結果の各項目について、その意味と適正値を把握しておくことが必要になります。何も見ないで答えられればベストですが、覚えられない場合も、いつでも確認できるよう手元に印刷したものをもっておくといいでしょう。

ポイント2:体質(証)を確認

会話のなかで薬剤師も言っているように、漢方薬の選定では、「体質(証)」が重要になります。証とは、漢方で処方を判断するもととなる、その人の体質や症状を表す概念で、この証が合っていないと、効果が出にくかったり、逆に副作用が出たりすることもあります。そのため、処方選定時には必ず確認して、お客様に合った商品をおすすめできるようにしておきましょう。

ポイント3:きちんと効果をご説明する

一般の方で、漢方薬についてよくご存知の生活者は少ないでしょう。そのため、処方名だけ告げられて「これがおすすめです」と言われても、納得性は低いといえます。お客様のためにしっかりと考えて選定したことが伝わるよう、お客様の症状や体質と、それに対してその商品がどのように効くのかをご説明できるようにしておきましょう。
なお、今回は「釣藤散」をおすすめしていますが、血圧が高めの方におすすめできる代表的な処方はこのほかに、「大柴胡湯」「柴胡加竜骨牡蛎湯」「八味地黄丸」などがあります。

●高血圧の基準(高血圧治療ガイドライン2014より)

医療機関で測定した場合、最高血圧140以上または最低血圧90以上を高血圧とする。
※家庭で測定した場合は、最高血圧125未満かつ最高血圧80未満が正常値。

●漢方薬の効能・効果

・釣藤散(ちょうとうさん)
体力中等度で、慢性に経過する頭痛、めまい、肩こりなどがあるものの次の諸症:慢性頭痛、神経症、高血圧の傾向のあるもの

・大柴胡湯(だいさいことう)
体力が充実して、脇腹からみぞおちあたりにかけて苦しく、便秘の傾向があるものの次の諸症:胃炎、常習便秘、高血圧や肥満に伴う肩こり・頭痛・便秘、神経症、肥満症

・柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうことぼれいとう)
体力中等度以上で、精神不安があって、動悸、不眠、便秘などを伴う次の諸症:高血圧の随伴症状(動悸、不安、不眠)、神経症、更年期神経症、小児夜泣き、便秘

・八味地黄丸(はちみじおうがん)
体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少又は多尿で、ときに口渇があるものの次の諸症:下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、排尿困難、残尿感、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)、軽い尿漏れ

掲載している情報は、取材時もしくは掲載時のものです。掲載日:2015年11月27日