除菌(殺菌消毒)剤をお求めのお客様

今回は、食中毒予防の商品提案として、殺菌消毒剤をお求めのお客様への対応を見ていきましょう。これからの時期はキッチン周りの殺菌消毒に気をつかわれるお客様も増えてくるでしょうから、きちんと対応できるようにしておきましょう。

接客事例&解説

事例:30代女性

お客様:すみません。これからの時期、食中毒が気になるからキッチンまわりの除菌をしたいんだけど、どれがいいのかよくわからなくて。

薬剤師:そうですね。キッチン用でも液剤やスプレータイプがあったり、スプレータイプでも、アルコールのものや塩素系のものなど、いくつか種類がありますからわかりにくいですよね。お客様はまな板やふきんの殺菌消毒などもなさるおつもりですか?

お客様:そうね。せっかくだから徹底的にキレイにしようと思うの。

薬剤師:それはいいことですね。徹底的に除菌するなら塩素系(ポイント1)のものがおすすめです。ふきんなどは液体タイプを希釈したものにつけ込んでおくといいのですが、まな板などをキレイにしたいときは、このようなスプレータイプのものが便利ですよ。気になる箇所に吹き付けるだけでいいですし、泡で出てくるのでたれにくいですから。

お客様:それは便利ねえ。

薬剤師:はい。一部だけでなくまな板全面を殺菌される場合は、スプレーした泡の上からふきんなどをかぶせておくとムラなく除菌できます。いっしょにふきんも除菌できますから一石二鳥ですよ。

お客様:そうしてみようかしら。じゃあ、アルコールのほうはあまり使う機会はないのかしらね?

薬剤師:いえ、塩素で除菌するほどでもない日常使いには、アルコールのスプレー(ポイント2)をおすすめしています。塩素ですと金属はさびるおそれがありますし、プラスチックやゴム製品に付くと劣化させてしまうおそれがあります。それに、有毒ガスの発生や、液剤の飛散で衣服が脱色しないように注意する必要がありますが、アルコールスプレーですと、もっと手軽に使えますから。

お客様:そうなのね。じゃあ、そちらもいっしょにいただいておこうかしら。

薬剤師:ありがとうございます。使用にあたっての注意(ポイント3)としては、まず、アルコールも、塩素系のスプレーも、お使いの際は、換気を忘れないでください。とくに塩素系は、酸性の洗剤といっしょに使うと有毒ガスが発生してしまいますから、絶対に混ぜないでください。また、手に付くと荒れやすいので手袋を使用していただくことをおすすめします。万一皮膚に付いた場合は、流水でキレイに洗い流してください。

お客様:わかりました。

薬剤師:それからアルコールスプレーの場合は引火のおそれがありますから、コンロの火などに向けて噴射しないようにしてください。

お客様:ええ、気をつけます。

薬剤師:ふきんの消毒や湯飲みの茶渋とりには、つけ置き用の塩素系漂白剤もございますので、ご入り用の際はお申し付けください。ありがとうございました。


解説

今回のポイントは、以下になります。

ポイント1:塩素系漂白剤を使用する際のポイント

塩素系漂白剤には、次亜塩素酸ナトリウムが使われており、その酸化作用で細菌の細胞膜や内部の酵素を破壊して殺菌消毒作用を現します。またこの作用により、色素の色が抜ける「漂白」も起こります。
塩素系漂白剤には、つけ込んで使うための液剤や泡状に噴出するスプレータイプなどがあり、用途に応じて使い分けます。ふきんなどを殺菌する際はつけ込む液剤タイプ、まな板や三角コーナーなどを殺菌する際はスプレータイプが便利でしょう。噴出ムラや殺菌箇所が立体のためどうしてもたれ落ちてしまうようなら、キッチンペーパーやふきんなどで覆うようにして密着させるといいでしょう。

ポイント2:アルコール除菌剤を使用する際のポイント

アルコール除菌剤には、エタノールが使われます。次亜塩素酸ナトリウムほど強力ではありませんが、調理器具だけでなく、調理台や食卓にも使え、拭き取りも不要なため、日々の殺菌消毒にも手軽に使えます。吹き付けたあとに、洗い流したり、二度拭きしてしまうと、除菌効果を発揮する前にアルコールがなくなってしまうので、自然に乾燥するのを待つようにお伝えしましょう。

ポイント3:殺菌消毒剤使用時の注意点

ここでは、殺菌消毒剤使用時の注意点を解説します。
まず、塩素系漂白剤ですが、こちらは薬剤が強力なため、直接肌に触れないように手袋を使用していただくようお伝えしましょう。もし皮膚についた場合は、流水でしっかりと洗い流すことが大切です。万一飲んでしまったら、一刻も早く病院に行く必要がありますが、ムリに吐き出そうとすると、嘔吐物が気管に入って、窒息や誤嚥性肺炎をひきおこすおそれがあるため注意が必要です。すぐに口をすすいでから、成分を薄めながら胃粘膜などを保護するためにコップ1~2杯の牛乳を飲むようにお伝えしましょう。牛乳がなければ、成分を薄めるための水でもかまいません。酸味のあるジュースなど酸性のものを飲むと、胃の中で反応して熱やガスが出る危険があります。また、現在ではよく知られたことですが、酸性の洗剤と混ぜると有毒ガスが発生することも忘れずにお伝えしましょう。もちろん、作業中はつねに換気しておくことも重要です。
アルコール除菌剤は、塩素系漂白剤に比べて危険は少ないですが、気化したアルコールをできるだけ吸わないようにすることと、アレルギーのある人の肌に触れないように注意を促しましょう。また、可燃性なので、使用時にコンロや給湯器の火にかからないように火を消してガスの元栓を閉めてから使用するのが安全です。

掲載している情報は、取材時もしくは掲載時のものです。掲載日:2015年09月29日