害虫駆除剤をお求めのお客様

ゴキブリなどの衛生害虫は、見た目が不快なだけでなく、ときには病原菌を運んで人に害を与えることもあります。とくに、春から秋にかけては活動が活発になりますから、店頭で害虫駆除剤のコーナーを設置する店舗も多いことでしょう。ただ、殺虫剤はエアゾール剤や毒餌剤、蒸散剤、くん蒸剤など剤形も多く、使用法や適した害虫がわかりにくいこともあります。そこで今回は、害虫駆除剤をお求めのお客様への接客を見ていきます。殺虫剤のなかでも、医薬品の製品では配合成分などによってリスク区分がありますので、リスクにあった適切な情報提供を心がけましょう。

接客事例&解説

事例:30代女性

お客様:すみません、殺虫剤がほしいんだけど…。

薬剤師何か特定の害虫に(ポイント1)お使いになりますか?

お客様:最近、家にゴキブリが出るようになったの…。よく効くものはないかしら? 殺虫剤もいろいろあるから迷っちゃって。

薬剤師:そうですね。一般的なエアゾールは、見かけたゴキブリをその場で素早く駆除するのに効果的ですが、目にするゴキブリはほんの一部ですから、就寝後に活動する夜行性のゴキブリ駆除には、くん煙剤や毒餌剤などがおすすめですよ。巣ごと駆除するなら毒餌剤、部屋全体をまるごと駆除するならくん煙剤が効果的です。

お客様:じゃあ、くん煙剤を使ってみたいんだけど、このゴキブリ用でいいのかしら?

薬剤師:そちらは、とくにしぶといゴキブリにも効くタイプですね。ダニやノミもいっしょに駆除できる、こちらの総合タイプもありますが、どちらにしましょう?

お客様:犬がいるから、ノミも心配なのよね。じゃあ、総合タイプにしてみます。部屋を2、3時間閉め切って使えばいいのよね?

薬剤師:はい。その間はワンちゃんもお外で遊ばせてあげてください。ほかにも、鳥や魚といった生き物がいる場合は、屋外に避難させてあげてくださいね。

お客様:ペットは犬しかいないから、大丈夫よ。ありがとう。

薬剤師:あと、くん煙剤を使うのであれば、できれば家全体を一度に駆除したほうが効果的です。また、薬は卵には効きませんので、卵がかえる約2週間から1カ月後を目安にもう一度使うと、しっかり駆除(ポイント2)できますよ。

お客様:そう? じゃあ、今度家族で出かける用事があるから、そのときにやってみようかしら。食器棚は目張りとかしたほうがいいのかしら?

薬剤師:いえ、ゴキブリは食器棚にいることも多いので、扉は開けておいて、食器には覆いをしておいてください。駆除後は一度よく洗ってからお使いいただくと安心です。また、食べ物などは煙が触れないようにビニール袋の中に入れておくようにしてください。パソコンなどの精密機器は基盤に煙が入らないようにゴミ袋などをかぶせておくことをおすすめします。火災報知器などは、熱感知方式なら問題ありませんが、煙感知方式の場合は誤作動するものがありますので、感知器をポリ袋で覆うなどして、煙が直接触れないように(ポイント3)してください。

お客様:わかりました。

薬剤師:使い終わった後には、しっかり換気してから、お部屋に入ってくださいね。何かご不明点があればいつでもお問い合わせください。ありがとうございました。


解説

今回のポイントは、以下になります。

ポイント1:駆除したい害虫を確認する

害虫駆除剤の販売の際、商品を決定するために必要な情報は、お客様が「どの害虫を」「どこで」「どのように」駆除したいか? ということです。駆虫剤には、それぞれの害虫に合わせて、効果的な成分と剤形を組み合わせた商品がありますので、基本的にはこの3点を確認することで、適切な商品を選択できます。

なお、害虫駆除剤のなかでも医薬品については、以下のようにリスクに応じた適切な情報提供をする必要があります。事故を起こさないためにもしっかりと情報提供するように心がけましょう。

ポイント2:効果的な使用法をお伝えする

このお客様は、ゴキブリのほかに、ペットのノミも気にされているようですので、総合タイプのくん煙剤をおすすめしました。くん煙剤はすみずみまで効いて効果的なのですが、卵の状態の害虫には効果が期待できません。そこで、卵がかえった頃に再度使用することをおすすめします。これによって駆除効果も期待でき、「効かなかった」というクレームを減らすことにもつながります。

ポイント3:使用上の注意をお伝えする

くん煙剤自体の使い方は難しいものではないのですが、使用前の準備が必要になります。殺虫成分が食物や食器に付かないように袋の中に入れておくことはもちろんですが、精密機器なども故障しないように、ビニール袋をかぶせるなどして保護しておくことが重要です。
一番問題になるのは火災報知器などで、煙に反応するため、くん煙剤を使用する場合は煙が入らないようにしっかりと覆っておく必要があります。なお、霧タイプのくん蒸剤であれば煙感知方式は反応しませんが、直接霧がかかる場所での使用は避けたほうがいいでしょう。また、ガス警報器はくん蒸剤でも反応してしまう可能性があるため、注意が必要です。

掲載している情報は、取材時もしくは掲載時のものです。掲載日:2015年07月24日