トクホをお求めのお客様

今回は、血糖値が気になるお客様にトクホ(特定保健用食品)をおすすめする際の接客例を見ていきましょう。トクホはあくまでも「食品」であって、「医薬品」とは違います。そのため、トクホを販売する際は、医薬品のように効能・効果をうたうことができない点などに注意して接客しましょう。

接客事例&解説

事例:50代男性

お客様:ちょっといいかな?

薬剤師:はい、何でしょうか?

お客様:この前の健康診断で、少し血糖値が高めだと言われたから、健康食品でいいものがないかと思って来てみたんだけど。

薬剤師:そうですか。検査結果はお持ちですか?(ポイント1)

お客様:ああ、あるよ。これだけど。

薬剤師:拝見してもよろしいですか? なるほど、糖尿病の診断基準までは行っていませんが、少し高めということのようですね。お医者様に診ていただくほど悪いわけでもないようですし、健康食品をお求めということでしたら、トクホを試されてはいかがでしょう?

お客様:ああ、トクホね。あれって、ホントに効くの?

薬剤師:そうですね、特定保健用食品は、「お腹の調子を整える」のように、特定の目的が期待できる成分を含んだもので、科学的根拠を基にその表示を認められた食品(ポイント2)ですから、ある程度の有効性は公的に認められているんですよ。

お客様:なるほどね。

薬剤師:医薬品と違って「病気を治す」というものではないのですが、特定の目的のために召し上がることで、健康を維持できるという商品なんです。お客様の場合は、こちらの「食後の糖の吸収をおだやかにする」お茶などはいかがでしょう?

お客様:これはどういいの?

薬剤師:こちらは、「難消化性デキストリン」という保健機能成分を含んでいて、食事のあとに血糖値が一気に上がらないよう、糖の吸収をおだやかにしてくれるはたらきがあるんです。お客様のように、病気とまではいかないけれども、血糖値が気になるという方におすすめしています。

お客様:それはいいね。だったらそれをもらおうか。

薬剤師:ありがとうございます。こちらは食後の血糖値上昇を抑えるためにも、お食事の際にお飲みいただくことをおすすめ(ポイント3)しています。1回のお食事につき、だいたいコップ1杯くらいを目安にお飲みください。毎日続けていただくほうが効果的ですよ。

お客様:そうだね、頑張って続けてみるよ。

薬剤師:あと、お食事の際には、お米やパンなどの糖質をなるべくあとにして、先に野菜類を食べるようにすると、より糖の吸収が抑えられるとされています。

お客様:なるほどね。気をつけてみるよ。

薬剤師:また何かございましたらいつでもお越しください。ありがとうございました。


解説

今回のポイントは、以下になります。

ポイント1:まずはお客様の健康状態を確認する

このお客様は、健康診断で血糖値について気になる点があったとのことで健康食品をお探しですが、実際に病院に行くまでもないかどうかについて、専門家としてアドバイスできるようにしておきましょう。お客様の健康状態を把握するために、可能であれば検査結果を確認させていただくか、数値をお聞きするようにします。
糖尿病の診断は少し複雑で、医療機関でも1回の血糖値測定で糖尿病と診断されることはあまりありませんが、おおよその基準値については覚えておきたいところです。

<糖尿病型の基準(抜粋)>
(1)空腹時血糖値が126mg/dL以上(110mg/dL未満で正常型)
(2)随時血糖値が200mg/dL以上(140mg/dL未満で正常型)
(3)HbA1cが6.5%以上

一般に、上記の正常型と糖尿病型の間である境界型の人は、生活習慣の改善(食生活や運動など)が必要で、トクホなどは生活習慣の改善の補助としておすすめします。
このお客様の場合、血糖値そのものは糖尿病型までは行っていないようですが、健康診断の値が糖尿病型の場合(通常は検査結果に受診を勧奨する文言が入ります)は受診勧奨しましょう。また、境界型であっても、「よくのどが渇く」「尿の回数が多い」などの症状があれば、医療機関の受診をおすすめします。
今回のお客様は大きな問題はなく、日々の健康維持のための商品をお求めのようですので、トクホ(特定保健用食品)をおすすめしています。

ポイント2:トクホの有用性を説明する

トクホをすすめる際は、トクホと医薬品の違いをお伝えしつつ、その商品がなぜお客様におすすめなのかを具体的にご説明するといいでしょう。今回は、「食後の糖の吸収をおだやかにする」はたらきがあるとされる「難消化性デキストリン」を含むお茶をおすすめしています。
なお、トクホはあくまでも食品ですから、医薬品のように効能・効果はうたえません。ほかにも以下のような基準に合致すると、医薬品とみなされて法律違反となります。店頭でのPOPやご説明の際にも以下のような基準に触れることがないように注意してください。

医薬品とみなされる基準
(1)成分本質(原材料)が、専ら医薬品として使用される成分本質を含むこと
 ・食品添加物と認められる場合を除く
 ・実際に配合されていなくても、配合されているかのような表示があると医薬品と見なされる
(2)医薬品的な効能・効果が標榜または暗示されていること
(3)アンプル剤や舌下錠、口腔スプレーなど、医薬品的な形状であること
 ・錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤などでは、食品である旨が表示されている場合に限り、形状のみから医薬品と見なされることはない
(4)服用期間、服用間隔、服用量等の医薬品的な用法・用量の記載があること
 ・調理のために使用方法、使用量などを定めている場合を除く

ポイント3:飲み方のほか、健康アドバイスもお伝えする

ポイント2で説明したように、トクホは医薬品の用法・用量のように服用間隔や服用量などを明示できません。そこで通常は「お召し上がりの目安」などとして、1日あたりのだいたいの量を表示しています。店頭では、それをお伝えするとともに、今回のように「食事中に飲む」などの効果的な召し上がり方をお伝えできるようにしましょう。最後に、普段から気をつけておきたい健康アドバイスもお伝えすることで、グッと説明の説得力が増すでしょう。

掲載している情報は、取材時もしくは掲載時のものです。掲載日:2015年05月29日