地域薬剤師が目指すべき将来像


筆者紹介  加藤哲太

東京薬科大学 薬学部 教授
薬学教育推進センター

所属委員会等
・日本学校保健会・医薬品の使い方に関する指導方法検討委員会・委員
・セルフメディケーション推進協議会 理事
・東京都薬剤師会 学校保健委員会 委員

岐阜県生まれ。岐阜薬科大学卒業 薬学博士。薬の正しい使い方やたばこの害、薬物乱用防止、アンチドーピングに関する講義、体験実習などを通じて、青少年の薬教育の拡大を目指す。
主著:『新・体と健康シリーズ 知っておきたい「くすりの正しい使い方」自分の健康は自分で守ろう』『知の森絵本「なるほど!くすりの原料としくみ -基礎知識と正しい使い方-」』など
出演番組:日本テレビ「世界一受けたい授業」、NHK Eテレ「オトナへのトビラTV」など


地域に根付く“かかりつけ薬剤師”に

今回は1年にわたって述べてきたことの集大成として、「地域薬剤師の目指すべき将来像」について考えてみたいと思います。
私は、2009年11月に「第3回日本薬局学会 学術総会」で、ワークショップを受け持ったことがあります。そのときのテーマは「今こそ地域貢献できる薬剤師の出番!!」でした。同年6月に薬事法の改正があったことから、参加した薬剤師の皆さんに、セルフメディケーション推進などによる薬剤師の地域貢献のチャンスだ、と伝えました。そしてまた今回も、薬事法の大きな改正によって薬剤師の役割がさらに重要となり、地域に貢献できるチャンスが再び訪れたと声を大にしたいと思います。

折しも、年が明けた1月21日に、厚生労働省から「薬局の求められる機能とあるべき姿」という指針が公表されました。同指針は、「近年の社会情勢の変化を踏まえた望ましい形の“かかりつけ薬局”を推進するための指針」であるとされ、薬剤師が担う地域医療の役割などについて方向性が示されています。昨年6月に閣議決定された日本再興戦略では、「薬局を地域に密着した健康情報の拠点として、一般用医薬品等の適正な使用に関する助言や健康に関する相談、情報提供を行う等、セルフメディケーションの推進のために薬局・薬剤師の活用を促進する」ことが掲げられており、今回の指針でも「健康情報拠点としての役割」が記載されました。薬局・薬店の「健康情報拠点としての役割」については、今までもこのコーナーで述べてきましたが、このようにはっきりと国の戦略として記載されているというのは興味深いことです。

このような状況もふまえると、“将来目指すべき薬剤師”は、“地域貢献できる薬剤師”といえるでしょう。では、薬剤師の地域貢献とはどういったものなのでしょうか? 私は、生活者の薬のセンス・知識を向上させることだと考えます。さまざまな販売チャネルで医薬品を入手できるようになったいま、誤った薬の使い方をしないように判断できる生活者を増やす努力が必要でしょう。そのことによって、安全性が疑わしい薬物に手を出す人や、誤用による事故を減らせるようになります。生活者がスキルアップすることで、安全性について声を上げられるようになるのが理想です。そうしてはじめて、セルフメディケーションが成熟してくるのです。ひいては生活者が薬剤師の必要性を主張してくれるようになるかもしれません。

もちろん、生活者のレベルを上げるには、薬剤師自身が今よりもさらに上を目指す必要があります。処方箋に記載されたまま、必要な疑義照会もせずに薬を出しているだけで、どうして患者に感謝してもらえるでしょうか? もし、今までのケアでは不十分だったと感じているのなら、今度こそチャンスを生かしてほしいと思います。その核となるのは、やはりface to faceの活動でしょう。適正な地域医療の運用はface to faceに勝るものはないと私は考えます。その最も身近な存在が地域薬剤師となるわけです。先の政府指針にもあるように“かかりつけ薬局”を推進するため、地域に根付く“かかりつけ薬剤師”となれるよう頑張っていただきたいと思います。以前の本コラムでも述べましたが、医薬品は商品の選定・使い方の説明といったサービス込みで販売されている商品です。市販品でも、あなたによって付加価値が加えられれば、それはあなただけが販売できる特別な商品となります。そんなあなただけが提供できるサービスによって、地域の生活者に感謝されるような“すてきな地域薬剤師”を目指してほしいと思います。

掲載している情報は、取材時もしくは掲載時のものです。掲載日:2014年03月28日