薬事法の改正でさらに増す薬剤師の重要性


筆者紹介  加藤哲太

東京薬科大学 薬学部 教授
薬学教育推進センター

所属委員会等
・日本学校保健会・医薬品の使い方に関する指導方法検討委員会・委員
・セルフメディケーション推進協議会 理事
・東京都薬剤師会 学校保健委員会 委員

岐阜県生まれ。岐阜薬科大学卒業 薬学博士。薬の正しい使い方やたばこの害、薬物乱用防止、アンチドーピングに関する講義、体験実習などを通じて、青少年の薬教育の拡大を目指す。
主著:『新・体と健康シリーズ 知っておきたい「くすりの正しい使い方」自分の健康は自分で守ろう』『知の森絵本「なるほど!くすりの原料としくみ -基礎知識と正しい使い方-」』など
出演番組:日本テレビ「世界一受けたい授業」、NHK Eテレ「オトナへのトビラTV」など


薬事法の名称も変わる大幅な改正

昨年、「薬事法等の一部を改正する法律」「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」「薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律」など、医療に関する法律が相次いで成立しました。これらを受けて、薬事法自体も、その名称が「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(略称:医薬品医療機器等法)に改められるなど、大きな改正となっています。
その中でも、薬局・薬店では「一般用医薬品のインターネット販売解禁」と絡んだ商品の販売方法の変更が気になるところでしょう。そこで今回は、地域薬剤師として知っておくべき、医薬品販売で新たに取り決められた内容について、確認しておきたいと思います。薬事法の改正と店頭販売に関するポイントは以下のようになっています。

●薬事法改正のポイント

  • 名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に変更。
  • 医薬品は、「一般用医薬品」「要指導医薬品」「薬局医薬品」の3種類に。スイッチ直後品目や劇薬が一般用医薬品から外れて「要指導医薬品」に。
  • 店舗販売業は、これまで一般用医薬品のみを販売等できるとされてきたが、今後は一般用医薬品及び要指導医薬品を販売等できる、と定められた。
  • 要指導医薬品のスイッチ直後品目については、原則3年後に一般用医薬品に分類変更される。
  • インターネット販売ができるのは「一般用医薬品」と「薬局製造販売医薬品」で、一般用医薬品は、第1類医薬品、第2類医薬品、第3類医薬品のすべてが対象。

●店頭販売に関して

◇一般用医薬品

  • 第1類医薬品…これまで通り、薬剤師が販売。その際に「年齢」「他の医薬品の使用状況等」について薬剤師に確認させなければならない。また、書面(電磁的記録も可)を用いた情報提供の義務の免除は、適正に使用されると認められる場合に限る。
  • 第2類医薬品…使用者の「年齢」「他の医薬品の使用状況等」の確認に努める。
  • その他販売等に関わる遵守事項は省令等で規定。

※タブレットやPCなどによるもの

◇要指導医薬品=スイッチ直後品目・毒薬・劇薬

  • 薬剤師による対面販売。書面(電磁的記録も可)を用いた情報提供及び指導(義務)。
  • 使用者の「年齢」「他の医薬品の使用状況等」について薬剤師に確認させなければならない。
  • 要指導医薬品を使用しようとする者以外の者に対して、正当な理由なく販売等してはならない。
  • 情報提供・指導ができないとき、適正な使用を確保することができないと認められるときは、販売等してはならない。

◇薬局医薬品(処方箋薬など)

  • 「医療用医薬品(処方箋薬)」は引き続き対面販売。「薬局製造販売医薬品」は、ネット販売が可能。
  • 医療用医薬品については、これまで通り薬剤師が対面で情報提供・指導を行う。

上記のように、医薬品の区分が見直されたことが、店頭で販売に関わる地域薬剤師には大きな変化でしょう。とくに薬剤師の場合、新たに定められた「要指導医薬品」も含めて、3種類すべての販売に関わるため、責任も重大です。それを示すように、第1類医薬品の販売では、患者が断っても薬剤師が必要と認めれば情報提供をしなければならないとされています。もちろん、処方箋薬や要指導医薬品においても、対面によりその適正使用を確保するための情報提供・指導を行っていかなければなりません。

このように、今回の改正によって、医薬品販売における薬剤師の重要性がさらに高まったといえるでしょう。前回の薬事法改正(2009年6月)では、あるテレビ番組に出演した際、「今回の改正により、対面販売の機会が増え、消費者はより安全に医薬品を手に入れることができるようになる」と発言しましたが、残念ながらこれまでのところ、その機会を薬剤師が十分生かしたとはいい難いかもしれません。今回の薬事法の改正こそ、薬剤師の真の職能をアピールできる機会にしてほしいものです。そうなるか否かは、個々の薬剤師の努力次第だと思います。
制度上の必然性だけでなく、地域医療の発展・安全性推進のためにもスキルを磨いて、患者から「やっぱり薬を買うなら薬剤師がいい!」と思ってもらえるような風潮を広げていってもらいたいものです。

掲載している情報は、取材時もしくは掲載時のものです。掲載日:2014年02月28日